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charm anthology

こちらは有閑倶楽部二次創作小説ブログとオリジナル小説ブログです。 日々の出来事もつぶやいています。 原作者・出版社とは一切無関係です。 誹謗中傷・作品の無断転載は禁止です。 管理人の文章やブログスタイルが合わない方はご遠慮下さい。不快と感じたコメントは削除致します。

2013/12/10

the eternal triangle lament 5

ご訪問ありがとうございます。
拍手・ランキングへのクリック、とても嬉しいです。
ありがとうございます。

さて、本日も続きをアップです。
次回くらいにはラストかな、と思ってます。

ちょっと急いでアップしましたので、誤字脱字等があるかも知れません。
どうぞご了承下さいませ。。
また、「彼女の恋を知った時」の続きがあるかどうかのお返事、
もう少しお待ち下さい・・・申し訳ございません・・・


*追伸:いくつかの参考図書を使用しています。
あくまでも二次創作小説です。念のため。。















魅録と悠理が破局を迎えている事を知ったのは、昨年のあの日曜日から二度目のクリスマスを目前にした頃だった。
冬休みの宿題スケジュールを悠理と組んでいる時で、彼女は幾分申し訳なさそうにその事を打ち明けた。
魅録は夏を過ぎた頃、野梨子に大事な相談をされたのをきっかけに仲を深めたと言う。
しかしいくら具体的に説明されても、僕はその事を上手く理解できなかった。
魅録はどうして野梨子と仲を深めなくてはならないのか。
少し前の放課後、彼は僕に“今までもこれからも、本気に愛せるのは俺には悠理しかいない”と豪語したばかりではないか。
逸らす事ができない程の強い視線を僕に投げ、彼女への真剣な想いを口にした。
それなのに何故悠理の元を離れ、野梨子と付き合わなくてはならないのか。


「僕達はいつも一緒にいますよね?メンバーと、学校でも休日も。
でもそんな気配は全くと言って良い程感じられなかった。
悠理達は仲が良くて楽しそうで・・・だからてっきり上手く行っているものだとばかり思っていました」
「それはその通りなんだけど」


悠理はあの時と同じような、大人びた笑顔を見せる。


「別に嘘吐いてた訳でもなんでもないんだ。ただ魅録の気持ちは野梨子に向いちゃったし、あたしではどうする事もできない。
だからこの事は正面切って受け入れようと思うんだ。多分その方が上手く行くからさ」


多分上手く行く・・・僕には二人の決断が全く以って理解できなかった。
数日後、魅録と悠理はメンバーの前で正式に二人の関係が終止符を打った事を報告した。
野梨子は終始顔が俯いたままだった。
けれどそんな彼女の肩を抱いていたのは悠理だった。

世界は難解な問題に満ち溢れている。

街はクリスマスムード一色になった。
街路樹がイルミネイションで飾られ、ショップはクリスマスツリーとモールで華やいだ。
サンタクロースは子供達に公平な笑顔を与え、Whamは“Last Christmas”を歌い続けた。
僕達は変わらぬ関係が続いた。普段と全く違ったところが見受けられなかった。
魅録も悠理も自然に笑顔を交わし、僕と野梨子に話しかけた。
以前よりもむしろ、僕達は良い関係を築いているようにさえ思えた。


「裕也君?」


美童が素頓狂な声を上げた。
学校の帰り道、すっかり暗くなった通学路を歩いている時だった。
僕と魅録と美童の三人だけの帰宅途中で、その声は住宅地に響いた。


「声がデカイぞ、美童」
「ああ、ごめん」
「で、野梨子は最初、裕也君の事で魅録に相談していたんですね?」
「ああ」
「しかし彼は金沢で何もかも最初からやり直したいと。こちらでの生活は忘れたいからと言う事で、
野梨子との連絡も拒んだ」
「形としてはそうだけど、多分野梨子に、あの時のような迷惑をかけたくないからだと思う」
「愛しい野梨子を大切に想うからこそ」
「俺は裕也の事をそう取った」
「多分、そうでしょうね。野梨子は納得しましたか?」


返事に困るように、肩を竦める。


「ああ言う性格だから、一途に想っていたんでしょうね」
「ああ」
「大切な思い出として胸にしまって置く事は厳しかった」
「悩みに悩んで、俺に相談した。その事を裕也へ伝えてもらったんだ。
向こうの住所まで知らないから、仲間に」
「それで?」
「直ぐに裕也から返事が来たけれど、そう言う事だから連絡先は彼女には伝えないで欲しいと」
「そうですか」


少しの間沈黙が続いた。
三人の靴音だけが不規則に聞こえる。
間延びしたような携帯電話の着信音がなったのは美童の物で、それが僕に、息の詰まるような緊張感を与えた。


「ごめん。僕、用事ができたから駅に向かうよ」


美童は一ブロック先の角を駅に向かって小走りに曲がった。
今付き合っている彼女からの電話だったのだろう。
こういう時の彼は、行動が早い。


「ちょっと寄って行かないか?」


魅録が指差したのはコーヒーショップで、店内は高校生で賑わっている。


「良いですよ」


先程の話の続きをしたいのだ。
僕は帰りたい気持ちを抑えて魅録の後に続いた。
カウンターでコーヒーを買い、窮屈そうな奥の空いた席に向かい合って座る。


「野梨子も随分泣いたんだ。知らなかったろ?」
「ええ。全然。やはり、そんな気配は彼女からも感じられませんでした」
「かなり辛い思いをした。納得させるまで、時間がかかった」
「ずっと、野梨子の傍にいたんですか?」
「ああ、夏の終わり頃から。ずっと」


ある週末、傷悴し切った野梨子の肩を朝まで抱き続けた、と魅録は言う。
裕也も今でも野梨子を大切に想っていて、それは変わらない。
ただ、本当に互いの幸せを思うなら、会わないまま、大切な思い出としておいた方が良いだろう。


「このままだと野梨子、本当に駄目になるって、俺、そう思った。
裕也にはなれないけれど、俺を通してずっとあいつを想えたら良いって考えた。
それは清四郎でも美童でもできない。俺しかできない役だから」
「信じられない。魅録はあの時、“今までもこれからも、本気に愛せるのは俺には悠理しかいない”と言ったんですよ?」
「今でも一番好きなのは悠理さ。それはこれからも変わらない。
でもこの事はどうしようもできないんだ。誰も止められない。
どうして今になって起こってしまったのか、俺にも分からない。でも起こってしまった事なんだ。
例え今じゃなくても、いつか必ず起こったと思う」
「僕には分からない」


清四郎、と魅録は僕の名前を呼ぶ。
一瞬にして店内の喧騒が聞こえなくなる。
彼の両の目が僕を見据える。


「悠理の事を頼む」
「え・・・?」
「お前は悠理が好きなんだろう。出逢った最初の頃からそうなんだろう」


僕は言葉を失う。
魅録は僕の返事を待っている。


「悠理を・・・でも、これはディセンシーの問題でもある。
魅録と悠理が別れたと言って、僕が彼女と付き合う訳にはいかないでしょう?」
「これは礼儀や流儀の問題ではない。お前が悠理を大切に想い続けていた、それが一番大事なんだ」
「魅録だってそうでしょう?」
「そうだ。俺だって悠理を大切に想っている。だからこそ上手く行かない事だってある。
野梨子は俺でなくてはならないように。悠理が、清四郎でなくてはならないように」
「僕でなくては?」
「悠理を頼む。その方が上手く行くから」


その方が上手く行く・・・最近、彼女にもそう言われたような気がする。


「僕には全く分からない」
「そうだろうな。清四郎には、永久に分からないだろうな」


魅録が、あの日の放課後と同じ微笑を浮かべた。








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