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こちらは有閑倶楽部二次創作小説ブログとオリジナル小説ブログです。 日々の出来事もつぶやいています。 原作者・出版社とは一切無関係です。 誹謗中傷・作品の無断転載は禁止です。 管理人の文章やブログスタイルが合わない方はご遠慮下さい。不快と感じたコメントは削除致します。

2013/02/21

心変わりは気付かぬうちに 1

※お知らせ※
先程ホームページのトップを更新させたところ、
サーバーで障害が発生しているようで更新できませんでした。
正常になりましたら再度トップの更新をしたいと思います。
ご迷惑をおかけ致します。
よろしくお願い致します!



こんにちは。
ご訪問ありがとうございます!

私の田舎は今週ずっと氷点下。。
雪もかなり積もっています。

皆様のお住まいはどうですか?
お出かけの際は気を付けて下さいね。
風邪やインフルエンザにも気を付けましょう。


本日アップは大好きな中等部のお話です。

良かったらどうぞお立ち寄り下さいませ♪













時々、ほんの時々、同じ夢を見る事がある。
 

季節も状況も同じで、年も登場人物も全く同じ。
 

そう。
まるで昔録画した映画を、何度か繰り返し見ている、そんな感じの夢。
 

まあ、実際にあった事が夢になってるんだから、当たり前って言えばそうなんだけど、ね。
 

今夜もそう。
 

さっき目が覚めて、部屋は真っ暗。
カーテンの向こうに明るさが感じられないから、多分夜か夜明け前なんだと思う。
 

まだ夢の続きにいるようで、心臓がドキドキして苦しい。
モノスゴイ罪悪感で、哀しい気持ち。
汗をかいているのに、とても寒い。
 


同じ夢・・・
 


すれ違うあの子の目は、今にも泣き出しそうで。
それなのに精一杯の微笑みを向けて手を振っている。
 


早く通り過ぎて!
早く通り過ぎて!
あの子が傷付いているから、早く!
 


あたしは声にならない言葉を心で叫んでいる。
振り返ると隣には、優しい目線であたしを見つめている人がいる。
あの子の存在なんてまるで知らないみたいにあたしに話しかけている。
 

あたしは、何か悪い事をした子供のように逃げ出したくなる。
けれどそんな気持ちに全く気付いてくれなくて、話し続けてる。
逃げたくても逃げる事ができない。
 

あたしはただ、向ける目線を受け止めるしかなかった。
 


・・・夢はいつもそこで終わる。
 

 

 

もうかなり昔の話だ。
あたし達はまだ中等部二年で、倶楽部なんてまだできてない頃。
喧嘩ばっかりしていて、友達なんて学校にはいなかった。
周りにはファンと名乗る女子達は多かったけれど友達ではない。
男子なんてみんな敵と言っても良かった。
そう・・・違う学校に通っていた魅録とも、出逢ってなんかなかったよ。
あたしはいつものように放課後の居残り教室にいた。
前日の宿題を忘れたのと、授業中の居眠りのせい。
気が進まないから課題プリントも進んでいなかった。
そんな時、委員会を終わらせた学級委員長が入って来た。
 


「今日も居残り?」
 


振り向かなくたって誰かすぐ分かる。
その嫌味な口調と気配で。
無視して分かりもしないプリント問題に目をやった。
 


「え?都道府県の問題?これって初等部でやったんじゃない?」
「ぐっ!ワカンナイからだよ!」
「そうなんだ」
「悪かったな」
「別に悪いなんて言ってないですよ」
「言ってるようなもんだよ」
「言ってません」
「ああ~、もうヤメタッ!」
 


先生は時間にならないと戻らなかったから、どうせ途中で帰ろうと思っていた。
こんな嫌味なヤツにこれ以上自分を晒すのは耐えられなかったから、
あたしはプリントをグシャグシャに折って鞄に入れた。
 


「いいの?」
「いいよ。どうせワカンナイから家に帰って兄ちゃんのパソコンで調べてもらう」
「そんな問題、調べなくたって分かりそうなもんですが・・・って、パソコンが家にあるの?」
 


当時パソコンがある家庭なんて少なかった。
自分専用なんて以ての外!
だけど家には数台、豊作兄ちゃんが仕事用で所有していた。
今と違ってやけに小さいモニターが、厚ぼったいハードの上に載っていた。
キーボードもプリンターも、今見たら如何わしい感じで。
ハンディタイプなんて言ったら!でっかい電卓と間違いそうだった。
 


「うん。あたしんじゃないけれど」
「見たいな。見せてもらえるものなの?」
「いいけど。帰って兄ちゃんに聞いたら。多分いいよ」
「本当?スゴイよ!家にパソコンがあるなんて、やっぱり剣菱さんだね!」
 


急に子供みたいな、ちょっとナレナレシイ感じで接してくる学級委員長に多少引きながら、
その日は途中まで一緒に帰った。
パソコンを見せる事を条件に、プリントの答えを全部教えてもらって課題を仕上げた後に。
学級委員長はパソコンに関する情報を熱く語り、チンプンカンプンだったあたしは、
それでも相槌を打たずにはいられない状況だった。
 


「じゃあ、明日・・・」
「うん。多分大丈夫だと思うけど」
「返事を楽しみにしているよ!」
 


家まで送るよと言ってくれたけれど、何だか照れくさくて。
用事があるからと途中で別れた。
 


「バイバイ」
 


手を振った顔がとても子供っぽくって。
あんな顔、クラスでは見た事がないから・・・特別に思えた。
 


あたしだけが知っているの?
 


そう感じてから、急に胸が苦しくなったのを覚えている。
 

あたしだけじゃない“他の誰か”を、その時思い出したからだった。







 

 

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