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こちらは有閑倶楽部二次創作小説ブログとオリジナル小説ブログです。 日々の出来事もつぶやいています。 原作者・出版社とは一切無関係です。 誹謗中傷・作品の無断転載は禁止です。 管理人の文章やブログスタイルが合わない方はご遠慮下さい。不快と感じたコメントは削除致します。

2012/08/10

残されし恋には 2

こんにちは!

ご訪問ありがとうございます。
作品への拍手も、とても嬉しく思っています!


皆様は明日からお盆休みですか?
私は・・・仕事ですが、姉ファミリーが実家に帰省するのでとても楽しみにしています♪
たった1日しか会えないのですが・・・
よい時間を過ごせるようにと願っています。



さて、「残されし恋には」の後編をアップです。

そう・・・「前編・後編」でアップすればよかったと後悔していますが、
前回が「1」でアップしちゃったので(笑)。


それでは、どうぞ~♪













異性とのやりとりについて(特に恋愛関係において)は正しい答えは出せないけれど、忠実ではないと思う。
相手を思いやるより自分優先的な部分があると、メンバーの男友達に指摘された事が多々あるから。
だから、彼女との掲示板でのやりとりも忠実ではなかったのかも知れない。
最初の内は懐かしさと彼女の心情を汲んで、彼女の書き込みにはなるべく返信するようにしていた。
 


“淋しい夜には、どう過ごす?
今夜は何をやってもダメみたいだ”
 


当たり前の関係が急に途絶えさせられたのだから、感情のコントロールができなくなったのだろう。
 


“淋しい夜は・・・酒を飲む(笑)。
ごまかしが利かない時もあるよね。
好きな事に集中できないなら、君の気持ちをここに書き込むといい。
独りじゃないんだ。”
 


依存・・・あるいはそうかも知れない。
彼女自身が、既に覚っていた。
 


“アイツがいないと、自分が自分じゃないような気がする。”
 


彼女は彼によって、自分の存在を認識していたとしたら。
そこまで依存していたのだとしたら。
彼女の想いは、恋愛に酷似した全く別のものなのだろう。
 


“いろんなコト、どーでもいーっ!!
上辺だけ誰かに優しくなんて、自分がイヤになっちゃう。”
 


自身の優しさが、偽りだと彼女は言う。
 


“そうだね。人に優しくできればいいよね。
人は自分の鏡だから、そうする事できっと自分にも優しくしてくれる。
もっと自分を大切にして。
自分を大切にしなきゃ、人も大切にできない。
君は君自身を、もっと愛してあげて下さい。
僕も自己嫌悪に似た思いに、苛まれる時ありますよ。
聖人君子にはなれないから。”
 


僕は精一杯の言葉を彼女に与えた。
自己重要感を高めさせる為に。
 

本来の・・・彼女に戻るように・・・
 

 

少しずつ、少しずつ、彼女の書き込む内容に変化が見られたのは数ヶ月も後の事。
 


“入道雲を見つけたよ!
空がこんなにもキラキラに青いなんて知らなかった。”
 


僕に話しかけながら、返事を必要としないように思えた。
 


“本当の幸せ。本当の優しさ。与えることから、はじまる。。”
 


きっと、もう、大丈夫。
僕は思う。
 


僕は書き込む事から離れて読み手にまわり、何時しか・・・その場所からも離れて行った・・・
 

 

 

シャワーを浴びて部屋に戻ると、先程よりも室内温度が上がっている。
エアコンのスウィッチを入れる為にリモコンを手に取り、窓辺に向かう。
傾き始めた午後の陽射しの中、蜩が一匹一匹競うように高々と鳴いていた。
 


“ねぇ、もうここで会話がなくなってズイブンたっちゃったけど、毎日更新してるよ!
気付いたら、ほめて♪(笑)”
 


僕はあの日の夜のように、この場所に偶然訪れる。
 


“人生の転機について、語る(笑)。
 

一生のうちで、どのくらいあると思う?
何度も訪れる、当たり前のことだと思う?
 

そうだとしたら・・・あたしにもあるよ。
片手で間に合うかな・・・(笑)
 

人との出逢いもそうだよね。
 

メンバーとの出逢いもそうだって思ってる。
とても良い出逢いだって信じてるよ。
 

きっかけを与えてくれて、ありがとね♪”
 


やがて蜩は競うのを止め、互いを認め合うように鳴き始める。
似ているようで、全く違う鳴き声。
夏の夕暮れ時に鳴く、物悲しい印象ではない。
その声は大きく、力強いものだった。
 

あれからずっと彼女はここで、僕に向かって話しかけていたのだ。
もう僕の支えは要らない、大丈夫と勝手に信じてこの場所を離れた僕に向かって。
 


“暑いって言ったら罰金だよ。
一回いくらにしようかな?(笑)”
 


昨夜の彼女の書き込み。
 


“何回言ったか知らないけれど、もう五百円分くらい言ったような気がするよ。”
 


僕は明け方、彼女の投稿の上に書き込んだ。
そして今、立ち上げ直したモニタの前に座る。
 


“驚いた・・・ごぶさた!(笑)”
 


時刻は、ちょうど十分前。
 


“久しぶりだね。
暑いって言わせないように、君を避暑地に誘おうかな?
今週末辺り、どう?”
 

“そこに、いるの?”
 


モニタの向こうで、悠理が泣き笑いしているような気がする。
 


“ああ。”
 


すまなかったね。
独りで、つまらなかったろうに。
 


“いいよ!
暑いって言った分、おごりで~♪(笑)”
 

“五百円じゃあ、お昼代にもならないよ。まあ、いいか。
土曜の朝、迎えに行くから。
それまでに、君が計画を立てているんだよ。”
 

“りょーかい!
ありがと。。楽しみにしているよ。”
 

“ああ、また。”
 

“またね。”
 

 

彼女の心の中に残っていた彼への恋は、形を変えて歩き始めていた。
それは僕の心の中に芽生えた想いに似ているのかも知れない。
 

蜩がまた、一斉に鳴き始める。
先程よりも大きく、力強く。
 

まるで、暑い夏はまだまだ続くと言っているかのように。






 


 

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