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charm anthology

こちらは有閑倶楽部二次創作小説ブログとオリジナル小説ブログです。 日々の出来事もつぶやいています。 原作者・出版社とは一切無関係です。 誹謗中傷・作品の無断転載は禁止です。 管理人の文章やブログスタイルが合わない方はご遠慮下さい。不快と感じたコメントは削除致します。

2012/02/01

冬の空

こんにちは~♪

毎日寒いですね。。
私の田舎は、大雪・積雪・氷点下・・・の毎日です。
最近の日課は、「雪かき」。
スノープッシャーを車に積んで走っています。


さて。
またまた小ネタアップです!
と言っても・・・ちょっとボツっぽいかな。
「ボツネタ」カテゴリーにしようかなって思ったけれど、
冬のお話なので、そのまま・・・(笑)

よろしければ、お立ち寄り下さいませ♪











昇降口を出ると外はもう夜のようにまっくらで、自分が吐く白い息だけが目の前に見えた。
鼻の中に違和感があるくらいの冷たい空気が、校舎との温度差を感じさせる。
 

うっすらと外灯が灯っている。
 

いつもは賑やかに仲間と帰るのに、今日は口数がやけに少ない野梨子だけ。
教室の居残りが終わった後、部室には野梨子しかいなかったから。
 


「珍しいな。みんなは?」
「帰りましたわ。各々、用事があるのですって」
「ふうん・・・」
 


お茶を淹れましょうかって。
でも、飲みたくなんかない。
みんなの、変に気を遣った感じが、苛立たせるから。
 


こんな変な感じにさせたは、多分、自分のせい。
この間の日曜日に、ツーリングに行った広域公園の駐車場で魅録に言われたんだ。
 


“俺たち、付き合っちゃおうっか”
 


って。
付き合うって、今とどういう風に変わるのって訊いたら、
 


“まあ、大して変わんないけれど、今までより仲間との時間が減っちゃうかもな”
 


魅録のことは好きだ。大好きだ。
もしかしたら、仲間の内で一番好きかも。
魅録のいろんなこと知ってるし、一緒にいてホッとする。
 

でも、どうだろう?
毎日の楽しいみんなとの時間が魅録との時間に変わるって。
魅録と過ごす時間は、好き。
 

だけど、違うんだよね。
 

魅録は、いつもの魅録と違ってくる。
みんなも、きっと違ってくる。
 

魅録は魅録じゃなくなって、みんなもそうなっちゃって。
 

もしかしたら、みんなとの関係が崩れちゃうかも・・・
 

 

野梨子を途中まで送る為に、公園を横切って近道を歩く。
 


「わぁ、綺麗だな・・・」
 


見上げると、空は満天の星。
冬は星座が綺麗に見えるって清四郎。うん、よく分かるよ。
でも、星空はすぐにもやもやとした視界になる。
ほっぺに・・・温かな滴が流れる。
 

あの時も、そうだった。
いろんなこと考えたら、涙が出てきちゃって。
わんわん大声で泣いちゃって。
そしたら魅録が、ごめんな、って。
あたしの頭抱き締めて。
 


“ごめんな、悠理。ごめん。さっきの、忘れてくれ”
 


って。
それ聞いたら、もっと泣けてきて。
 


「悠理、大丈夫ですの?」
 


心配そうに野梨子があたしを見つめている。
 


魅録が気にしていましたわ。
 


“仲間を大切にする悠理だから、だから大好きなんだ・・・”
 


悠理を彼女として失うより、友人として失う方が辛い、と言ってました。
 


「そ、そんなん・・・言われたって・・・な・・・」
「魅録は本当に悠理が大好きで、大切なのですわ。
だから、悠理がいつも笑顔でいられる場所に一緒にいたいのでしょうね」
 


目が熱くて、鼻がツーンとして、喉が痛い。
魅録の優しさが、胸に沁みる。
 


「悠理は・・・清四郎に似ていますのね」
 


あたしは野梨子の意外な言葉に驚いてしまう。
思わず野梨子を見つめる。
 


「私・・・清四郎に交際を申し込みましたのよ」
 


知ってるよ。
野梨子の想いは、ずっと前から、知ってるよ。
 


野梨子は、今まで見た中で一番切なげで、一番優しい顔だった。
野梨子の瞳は、この星空に負けないくらい綺麗だった。
 


そしたらね、清四郎が言いましたの。
 


“野梨子と特別な関係を築いていく事は、僕にとっても大切な事かも知れません。
だけど今は、仲間とのこの居心地の良い関係を保っていたいんです”
 


清四郎の気持ちは、痛いくらい分かりました。
だって、やっぱり私も仲間は大切だから。
 


「野梨子は平気なの?」
「平気と言っては嘘になるかも知れませんけれど・・・・」
 


でも。
清四郎が振り向いた時に、いつも笑顔でいたいから。そうしていたいから。
 


「だから私は頑張れるのですわ」
「・・・強いな、野梨子は」
「ええ。きっと私は、悠理よりも強いのかも知れませんわね。そういう意味では」
 


あたしと野梨子は、もう一度夜空を見上げる。
満天の星が、ゆっくりと近付いてくる。
 


「雪・・・」
 


今年初めての雪が、あたし達へ舞い降りる。
ふわり、ふわり。
すっかり冷えたほっぺにも、ふわり。
 

あたしはまた驚いた。
だって、あんなにふわふわした雪が、冷えきったほっぺより冷たいんだもの。
あの日流したものに比べられないほど、冷たいんだもの。
 

 

「野梨子・・・涙って、あったかいんだな・・・」
「ええ、そうですわ。涙は、人の気持ちのように温かいんですわ。
そうやって、私達は“優しさ”と言うものを知っていくんだと思いますの」
 

 

雪の向こう側には、満天の星。
きっと積もることはないんだろうけれど。
 

忘れないでいよう。
どんな時でも、ほっぺを伝う涙は温かいってことを。
 

 

 

 

 


 

拍手[8回]

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コメント

1. ぐは!

 こんばんはー!
 悠理が泣いちゃった気持ちがすっごくわかるというか、せつないです!
 野梨子も魅録も清四郎も、悠理のそういう純粋な幼さを大事にしてるところがありますよね。
 悠理の持つ脆さと強さ、結晶のように混じりけのない友情への信頼とか。
 イヤでも魅録も野梨子も可哀相なんですけれども。(笑)
 「本当に大事なものは、目には見えないんだよ」って言われたような気がします。
 いつも素敵な切なさをありがとうございます!
 まだまだ寒い日が続きますけど、kotanさまお気をつけてくださいね!

じんじゃーさま

いつも素敵なコメントをありがとうございます!
そちらのお天気はどうですか?
毎日寒いですね。。
私の田舎は、道路脇に雪山ができています(笑)。

そう、メンバーは、悠理の純粋な仲間への想いを理解し、
大切にしていると思うんですよね。
そういう彼女が大好きで。
だから大切にしたいって言うか。
もちろん悠理だけでなく、メンバー皆それぞれに♪
そんなそれぞれの想いを、時に、
こう言うカタチで知っていくんじゃないかな、と(笑)。

最近、ちょっと甘いお話が書けなくて残念なのですが、
こうしてコメントをいただくと次への元気に繋がります!

いつも本当にありがとうございます!!
じんじゃーさまも無理をなさらないようにして下さいね。

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