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charm anthology

こちらは有閑倶楽部二次創作小説ブログとオリジナル小説ブログです。 日々の出来事もつぶやいています。 原作者・出版社とは一切無関係です。 誹謗中傷・作品の無断転載は禁止です。 管理人の文章やブログスタイルが合わない方はご遠慮下さい。不快と感じたコメントは削除致します。

2015/08/07

高等部三年、夏休み

ご訪問ありがとうございます!
本日は“学園物語”シリーズの番外編をアップ致します。
心に残る高等部三年の夏の思い出・・・と思って描きました。
番外編と言うことで、年齢制限のある文章です。
お若い方や、そのような表現が苦手な方はご遠慮下さい。
読後の苦情も受けません。
お盆前には仕上げようと思いまして急ぎました。
誤字脱字等、お許し下さい。
こちらのブログにアップ致しております。

あの宵宮の日から僕達の距離は縮まった。
それは中等部の頃からの僕の願いでもあるはずだった。
けれど・・・何故だろう、どこか素直に想いを悠理に向ける事ができなかった。
彼女は僕に向いている。それは確かだ。
魅録への想いが完全になくなった訳ではないだろうが、諦めとは違う心の変化を感じる事ができた。
そして魅録と野梨子の関係は、少なからずメンバーの動向を変えていた。
だから僕達の今年の夏休みは、別々の行動をする事になった。
魅録と野梨子はもちろん、美童や可憐はそれぞれの相手と過ごし、僕と悠理も二人だけの時間を過ごす事が多かった。
ぎこちなかった口づけも、おはようとおやすみの挨拶には自然に唇を重ねるようになった。
僕から求めるだけではなく、悠理からせがまれる事もあった。
それはもう、日常的に、当たり前のように行われた。
だから僕達が、今までの関係から急激に発展した事について、それはやはり必然のように思えた。
彼女がどう感じているのかは分からない。
けれど今となっては後戻りできない、互いの責任でもあった。
僕達は電車とバスを乗り継いで、ある温泉郷へ遊びに来ていた。
ひなびた茅葺き屋根の宿はまるで民家のようで、宿泊客も少なく、田舎料理も豪華とは言えなくても満足はできた。
バスを使えば別の温泉宿で温水プールが楽しめたし、観光スポットはなきに等しくても僕達には充分だった。
宿泊二日目にそれは起きた。
僕達はバスを使って温水プールを楽しみ、近くの温泉地にも足を伸ばして入浴をし、夕食前に温泉宿に戻った。
まだ日中の陽射しが部屋の中に残っていて、むっとした暑さがあった。
けれど僕達が普段感じる暑さとは別段で、窓を開け放せば温泉地特有の匂いが混ざった風が吹き抜けて、エアコンがなくても涼しかった。
僕はテーブルを壁側に押し付けて畳に寝転んだ。

「ああ、気持ちがいい。悠理もちょっと寝てごらん」

彼女はトートバッグの中のバスタオルを窓辺の椅子にかけると、うんと言って隣に寝そべった。
僕達は小さな一人部屋の和室をそれぞれに予約していたので、こうして隣り合って横になるのはずいぶん久しぶりのように思えた。
今まで、いろんなシチュエィションでこのような事もあったのであろうが。

「清四郎の部屋の方が風が通って気持ちがいい。あたしんとこは女性配慮でちょっと見通しも悪い」
「夜は部屋を真っ暗にして網戸も開けると、強くて冷たい風が通り抜け気持ちいいですよ。今夜は悠理もここに寝るといい」

特に深い意味もない、さりげない言葉のつもりだった。
けれど言葉はすぐにその意味を持ち、互いに意識してしまった。
悠理は体を強ばらせ、全く動かなくなった。
僕は数センチ先の彼女に手を伸ばす事にしばらく戸惑い、迷ったが、どこかで一度だけなったクラクションの音を合図に体を起こして彼女に覆い被さった。
目を見開き、驚愕した表情でいたが、目が合うと瞼を閉じた。
僕は今まで心に秘めていた欲望と焦燥感にかられながら彼女に口づけし、首もとに愛撫した。
まだ体を強ばらせたままの彼女のカジュアルなブラウスのボタンを途中まで外し、温泉で着替えやすいようにと珍しく穿いた柔らかな生地のランニングスカートをたくしあげた。
ほっそりとした肢体ではあるが、下着の中は形の良い小さな胸と柔らかな下腹部で、僕の理性は狂い始めるのが分かった。
不慣れな指先と唇で彼女の華奢な体を愛撫する。
僕はもう、僕をもう、誰も止められない。
まだ充分に温まらない彼女の中へ、熱くなった自身の肉体を押し入れる。
互いの下腹部に力が入り、思うように進まない。
突然の出来事と緊張で抵抗できないのか、それとも僕を受け入れようとしているのか。
彼女自身が少しだけ体を広げると、僕は前に進む事ができた。
でも彼女の体を貫こうとする度に、彼女は小さな悲鳴をあげた。
そしてその度に彼女の中は収縮し、僕は理性を忘れて何度も押し上げてしまう。
額の汗は音を立てて畳に落ち、いくつもの染みを作った。
彼女の小さな頭を押さえ込むように抱きすくめ、酷なのだろう知りながらも攻め立てる。
痛みのあまりに僕の腕を押し退け、体を大きく仰け反らせた時、僕の肉体は彼女の奥深くに入り込んだ。
彼女がまた遠慮気味に声をあげたと同時に、僕は彼女の中に全てを放った。
一瞬にして体中が燃えるように熱くなり、周りの音が消えた。
僕の背中に回っていた彼女の腕が力なく滑り、畳の上にぱたりと落ちた。
彼女の荒い息を感じると、周りの音が甦ったように耳に入り、窓から蜩の声が一斉に鳴く声が聞こえた。
僕はもう一度彼女のこめかみを愛撫し、力尽きた自身を感じると、彼女から体を離した。
二人でまた畳に仰向けになって体を伸ばす。
夕方の陽射しが天井に反射し、その長い歴史を見せる。照明は点けていない。
僕はポロシャツとコットンパンツを整え、たくしあげた彼女のブラウスとスカートを丁寧に伸ばした。

「ありがとう、悠理」

僕は言う。
彼女は何も答えない。
放心しているのだろう、まっすぐ天井を見上げている。

「ありがとう、素敵だった。本当に」

上から覗き込むようにして見つめる。
彼女は僕の視線にまだ気付いていない。

知り合った遠い昔、あの幼い日からずっと、僕は恋をしていた。
言葉で気持ちが表せるようになった中等部には、悠理がすでに欲しかった。
ずっと、ずっと、傍にいたかった。ずっと・・・

「これからも、ずっと一緒にいよう」

僕は悠理の深く澄んだ瞳に告げる。
彼女は僕の視線に気付き、僕の目を見つめる。
やがて彼女に表情が戻り、大人びた笑顔を見せた。
そして瞳から、一滴の涙が零れた。

拍手[15回]

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コメント

1. お盆ですね

素敵な作品ありがとうございます。
シチュエーション萌えしました。
天井を見つめる二人が目に浮かびました。
清四郎の想いも、最後の二人の笑顔も浮かびました。

Kotan様の作品はどこかしこに切なさが隠れていてすごくドキドキします。
いつもその切なさを、表現したいのに出来なくてもどかしさを感じる駄作家です。

暑い日が続きます。
どうぞ御体には呉々もお気をつけて。
とても、素敵でした!

うつき様

いつもありがとうございます!

毎日本当に暑いですね。
お盆も過ぎれば少しは落ち着くのでしょうか。。
だらだらした動作になってしまいます。

さて、感想をありがとうございます!
切なさ・・・そうですね、私の家は山の上にあるので、朝から蝉や蜩が大合唱しているんです。
けれど夕方の鳴き声は本当に切なく、でも大好きなんですね。
ですのでその感じを文章で表現してみました。
年齢制限を感じさせる文章の時は、いつも以上に暗いイメージで書いてしまって・・・

今年の夏は本当に暑いですね。。
どうぞうつき様も体調を崩さないようにご自愛下さい。
いつもありがとうございます!

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