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charm anthology

こちらは有閑倶楽部二次創作小説ブログとオリジナル小説ブログです。 日々の出来事もつぶやいています。 原作者・出版社とは一切無関係です。 誹謗中傷・作品の無断転載は禁止です。 管理人の文章やブログスタイルが合わない方はご遠慮下さい。不快と感じたコメントは削除致します。

2013/05/23

もし、「真夏の夜の・・・」を現実版にするなら

こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。

拍手やランキングへのクリック、感謝しています。
ありがとうございます!!


思うままに描き始めたら、何となくこうなってしまいました。
隠すような事はなく・・・(笑)
ちょっとアップしてみます。
良かったら、どうぞ。。



追記:「真夏の夜の・・・」って、今回のは、ちっとも真夏でも夜でもないっ!(笑)
さっき、車の運転をしていて気がつきました。。













すっかり夏らしい季候になった週末。
清々しい所為か、フットワークが普段以上に軽くなったメンバーと泊りがけの小旅行。
今回は“B&Bホテル”に宿泊していた。
 


「さあ、悠理。朝ですよ。起きて下さい。下でみんなが朝食を前に待ってるんですから」
 


午前七時三十分がこのホテルでの朝食時間。
ダイニングルームで、宿泊客全員が食事を取る。
 


「んん・・・」
 


さっきからずっとこんな感じ。
頬を抓っても、鼻を摘まんでも、一向に起きようしない。
 


「いい加減にして下さいよ。先行って食べますからね。悠理の分はないものと思って下さいよ!」
 


寝起きの悪い悠理に手をかけ過ぎるとろくな事がないのは学習済み。
僕は悠理達のベッドルームを立ち去ろうとした。
 


「う、ん・・・ん」
 


ベッドで彼女が寝返りをうち、目を瞑ったまま何やらブツブツと言っている。
 


「どうした?」
 


一度戻りかけたが、屈んで悠理に顔を近付けてみる。
 

その時・・・
 

彼女の細い両腕がブランケットから伸び、僕の首に巻き付いた。
 


「ちょ、ちょっと」
 


結構な力で僕を抱き竦めると、彼女の頬が唇に当たった。
驚いて引き離そうとするも、上手く力が入らない。
そうしている内に今度は彼女の唇が僕の頬に当たり、こめかみを伝う。
 


「よせ、悠理」
 


言葉とは裏腹に体が動かない。
 


「ゆ・・・」
 


彼女の唇はこめかみから頬に戻り、僕の唇を覆った。
 

僕はすっかり動揺したが、何故か両腕は、彼女の肩に触れているだけだった。
彼女の使うシャンプーの香りが鼻先に漂い、思わず僕までが目を瞑りそうになる。
けれど理性がやっと手先に戻り、彼女を軽く押しやった。
互いの唇が離れる瞬間、彼女の舌が僕のそれに触れる。
甘い感触が脳裏まで突き抜ける。
あと少し・・・と願ったが、ふっと力が抜け、彼女がブランケットにゆっくりと戻るのが見えた。
 


「よお、大丈夫か?」
 


突然部屋に入って来た魅録に、僕の動揺を隠すのが精一杯だ。
 


「え、ええ」
「丁寧に起こしたってダメだぞ。こいつの場合はこうやって」
 


魅録は悠理のベッドへ近付き、乱暴にブランケットを捲り上げる。
ゆったりと身を伸ばして寝ている彼女の両脇に、魅録は手を入れてくすぐった。
 


「悠理~、起きろ!!」
「ぎゃああっ!!!」
 


彼女はびっくりするように飛び上がり、大きな両目をパッチリと開ける。
 


「ナニすんだよ、魅録」
「さっきから清四郎が起こしてんだろ。朝メシだよ。みんな下でお前を待ってるんだ。早く来い」
「ん。まだ眠いよ・・・先食べてて。顔洗ってすぐに行くから」
「オッケー。清四郎、行こうぜ」
「ええ」
 


悠理は眠そうに目を擦り、やっとベッドから出る。
 


「清四郎、おはよ」
 


彼女は僕の存在にやっと気付いたように声をかけた。
 


「お、おはよう」
「魅録と先行ってて。着替えて顔洗うから」
「分かった」
 


その後の彼女は普段通り。
ダイニングルームでも昼間の観光でも。
ホテルでは夕食が出ないのでみんなでレストランを探す時も、僕の腕を取ったり魅録と手を繋いだりしていた。
お決まりの夜の酒盛りでも・・・
僕は彼女の瞳の中に特別な色を探したが、全く以ってそれを見つけ出す事ができない。
 

そして翌朝。
 

悠理の寝坊は昨日と同じで。
魅録が起こしに行くと言ったが、僕はそれを制した。
ベッドルームに入ると、僅かに開いた窓から風が吹き抜け、カーテンがふわりと揺れている。
僕は緊張で胸が高鳴るのを感じている。
 


「悠理、起きてます?」
 


ベッドの傍らで小さく声をかけても反応はなく、指先で彼女の頬からこめかみへと軽く撫でる。
顔に自分の耳を近付けて、その眠りに偽りがないかを確認してみた。
 


「・・・・・」
 


しばらくすると彼女の細い両腕が、僕に向かって伸びて来る。
一瞬息を呑んだが、首に腕が巻き付くと同時に僕も彼女の背中に両腕を巻き付けた。
自分でもどうしたいのか分からない。
ただ、気がつくと、僕は彼女の甘い唇を探していた。
 


「くっくっく・・・」
「!!」
 


驚いて彼女を突き放す。
彼女はベッドの上でゲラゲラと体をくの字に曲げて笑っている。
 


「どういう事だ、悠理!」
 


彼女は苦しそうに笑うばかりで、返事をしようとしない。
 


「何やってんのか分かってるのか!?」
 


体を揺さぶりたい衝動にかられたが、自分の行為の恥ずかしさもあって、しばらくすると冷静さを取り戻した。
ゆっくり深呼吸をしていると、彼女の馬鹿笑いも落ち着いたようだ。
 


「ごめん。だって、くすぐったいんだもん」
「悠理」
 


普段通りには、いかない。
だから、ベッドの縁に腰をかける。
 


「理由を説明して下さい。僕をからかった、その理由」
「理由?からかうって?」
「だから、僕を、その、こんな風にして何がおかしいのか、ですよ」
「あたしを起こしたんでしょ?くすぐって。魅録みたいに」
「ん、ん?」
 


どうも腑に落ちない。
ふざけてるんだ、完全に。
さっきの抱擁が、くすぐって起こしてるなんて。ありえるもんか!
 


「怖い顔。清四郎、怒ってるの?」
 


彼女の間の抜けた質問が、僕を余計腹立たせる。
 


「ごめん、清四郎。本当は、昨日から、分かってたんだ」
「ほら、やっぱり。ふざけるのも大概にしろ。とんでもない事をしたんだぞ」
「とんでもない?なんで?」
「は?なんでって」
 


呆れて物が言えない。こんな事ってあるのか。
 


「悠理、僕は」
「あたし、嬉しかったよ」
「え?」
 

「おい、悠理!あ、起きてるじゃん」
 


時間がかかる僕に、魅録がまたやって来る。
 


「起きてるよ。着替えて顔洗うから。先食べてて」
「分かった。清四郎、行こうぜ」
「ええ・・・」
 


一度はベッドルームを出ようと、けれど、魅録が階段に向かうのを確認して振り返る。
 


「悠理、嬉しいって?」
 


彼女は僕を見てにっこりと微笑む。
 


「だって、清四郎もあたしと同じ気持ちだって事でしょ?」
 


僕はその言葉にはっとする。
相変わらずの、彼女のご都合展開。
 


「さあ?悠理は、演技力抜群ですね。この僕だって見抜けなかった」
「演技なんてしてないよ。タイミングを見つけただけ」
「タイミング?」
「今日は、失敗。清四郎のタイミングが合わなかったから」
「僕の?」
「そう。あたしは清四郎に合わせただけ」
「なるほどね」
 


悠理はベッドから出ると、大胆に僕の前でパジャマ代わりのTシャツを脱ぐ。
水着姿は見慣れているけれど、下着姿はそうはいかない。
 


「誘ってるでしょ?」
「別に。だってタイミング合ってないもん」
「悠理の予想。いつなら合うの?」
 


相変わらずの奇抜な色のシャツとジーンズを身に着ける。
 


「戻ったら」
「戻ったら?」
 


僕が彼女に近付くと、当たり前のように首に両腕を回して抱き付いた。
僕はされるまま・・・
彼女のリードで軽い口付けを交わすと、くるりと踵を返す。
 


「東京に戻ったら続きがしたい」
「ああ、そういう事か。良いですよ」
「ほらね、やっぱり。清四郎だって同じ気持ち」
 


やれやれ、悠理には敵わない。
 

シャワールームで顔を洗う姿をぼんやり見ていると、鏡越しに彼女が笑っているのが見える。
 


「タイミングをありがとう」
 


僕は声をかける。
 


「どういたしまして」
 


と答える彼女は、何時にも増して綺麗に見えた。






 

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