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こんにちは♪
何となく、“星空の散歩”の続きが書きたくなったので。
背景は変わらず「悠→清」で、清四郎は受験で忙しく倶楽部に顔を出していません・・・と言う感じ。。
進展はないのですが、良かったらどうぞ♪
「悠理、綺麗になったね。恋でもしているの?」
お昼休み、中庭のベンチでボンヤリしている悠理に美童は言った。
雲ひとつない青空の下で静かに座っているものだから、あるいは彼の目についたのかも知れない。
いつもの展開なら・・・メンバーの誰もがそう思った。
野梨子や可憐は彼女を宥める言葉を探し、魅録は華奢な体を腕に収めようとしただろう。
「なんで・・・?」
ボンヤリしたままで、悠理は美童に視線を移した。
「なんでそう言うの?」
彼はちょっと首を傾げ、それから彼女を見つめ返す。
「その表情が、全てを物語っているからさ」
「わかんない。でもさ・・・」
何かを口にしようとして、でも、言葉で表す事を躊躇しているよう。
だから美童は近くの三人に目配せをした。
“ここは僕に任せて”と言う風に。
そう、今この時こそ、恋の達人に任せた方が良い。
三人はその場を離れた。
「でも、どうした?」
「うん・・・なんか淋しいんだよね。みんなと一緒にいても、ひとりぼっちみたいに」
彼は何度か首を縦に振り、口元に笑みを浮かべる。
「まだ、恋の確信を得られないんだね。片想いって、そんな感じさ」
「片想い?」
「相手は、悠理の気持ちを知っているの?」
相手と聞いて彼女は胸に誰を思い浮かべたのだろう。
切なそうな、愛しそうな、譬え難い表情。
「多分、知らないと思う。それに知っちゃったら・・・」
俯き加減で視線も落とし、困ったように肩を窄める。
「嫌われちゃう」
美童はびっくりしたように声を上げる。
「嫌う?なんで?」
女の子に告白されて嫌う何て考えられない。
「男の子みたいなあたしに好かれて、嬉しいヤツなんていないよ」
「そんな事、ないさ」
ああ、やっぱりね。
彼女は恋をしているんだ。
美童は微笑む。
簡単なようで決してそうではない恋を抱く彼女を可愛らしいと思う。
でもそれと同時に、得られ難い想い人への恋心を苦しく感じる。
「こんなに辛いんなら、早く時間が経って忘れちゃいたいよ」
「通り過ぎるだけでいいの?」
「いいよ。どうせ想いなんて届かないもん」
「想いを伝えないの?」
最近曇りがちな彼女の表情は、まるで今にも雨が降りそうなほど歪んでしまう。
「忙しいから。あいつ、忙しいもん。こんなコト、言えるかよ」
全てを覚った彼は、雨雲を消し去るような勢いで両手を叩く。
「清四郎!?」
今度は悠理がびっくりしたように真っ赤な顔を上げる。
ああ、また余計な事を言ってしまったと言うように。
「お願い。誰にも言わないで」
「ごめん、ちょっとびっくりして。言わないよ」
「・・・ありがと」
雨雲は去ったけど晴天の霹靂?何て冗談を思いながら、彼女への言葉を探す。
こんな可愛らしい彼女を安心させたい一心で。
「喜ばせたい。笑わせたい。振り向かせたい」
「なーに?」
「僕の、悠理への気持ち」
「ん?」
「伝えたい。安心させたい・・・」
んー、と人差し指を顎に当てて考える。
清四郎を想う悠理を笑顔にさせるのは簡単。
でもどうやって伝えたら良いのだろう。
「今度清四郎に会う時、いつも通りの笑顔を見せてごらん」
「いつも通り?」
「うん。それだけで、清四郎へ勇気を与えるから」
「勇気?受験?なら、あいつは大丈夫だろ?」
「悠理の笑顔は、真昼の太陽のようさ」
澄んだ大きな瞳を美童に向け、首を傾げている。
何て可愛いのだろう。
美童は知っていた。
悠理の存在は何時も清四郎に微笑みを与え、その表情が輝き始めると言う事を。