こちらは有閑倶楽部二次創作小説ブログとオリジナル小説ブログです。 日々の出来事もつぶやいています。 原作者・出版社とは一切無関係です。 誹謗中傷・作品の無断転載は禁止です。 管理人の文章やブログスタイルが合わない方はご遠慮下さい。不快と感じたコメントは削除致します。
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ただいまコメントを受けつけておりません。
本日で完結です。
何とか間に合いました~♪
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!!
日曜日の午後の陽射しがまったりと室内に流れ込んでくる。
先程運ばれて来たコーヒーの香りが心地良い。
「うう~ん」
目を瞑って、まるで静かな喫茶店にいるかのような気持ちだったのに・・・
「解けた?」
「まだ。ちょっと一休みしたら」
「ダメ!五分前にケーキ食べたばかりでしょ」
今週から始まる三学期期末テストに向けて、僕は悠理の家庭教師に。
これだって、高等部になってからの恒例行事。
いつもは嬉々として鬼教師になるけれど・・・もう、やる気ないや。
勉強したくないこいつと一緒。やる気なんて、ない。
「清四郎~。おねが~い。ちょっとだけ、休憩」
さほど難しくもない問題なのに。
いつもならやり過ごす時間だけど、気になってしまう。
ねぇ、あの事覚えてるの?
僕はあの日以来、君を違う目で見るように試みてる。
距離をおいて、友達として、仲間として付き合っているつもり。
頑ななほどの冷たい君の心を、もう感じたくなんてないからね。
去年のホワイトデー。
僕はあの赤い紙袋のお返しに、銀でできた猫のストラップを淡いピンクの包装紙に包んであげた。
“Thank You Very Much !”って印刷されたカードに、
“これからも、君を助けられるように傍にいるよ!”
って返事を書いた。
一ヶ月近く考えて、友達とはちょっと違う感情を持っているって感じたから。
三日間も悩んで、ホワイトデーのお返しとメッセージの言葉を考えた。
あの日・・・
わざと生活指導と掲げて、放課後の指導室に呼んだ。
君は真っ赤になって怒ったけれど、僕のお返しにさっきとは違う赤に頬を染めた。
まるでその表情は、バレンタインの日の放課後のようで。
それは、君の心情も表していると僕は取ったんだ。
野梨子や可憐とは違う、特別な僕の想いを君も感じ取れたはずさ。
ホワイトデーの後の週末、僕達はいつもと違う時間を過ごした。
仲間達と過ごすのが常となったばかりだったけれど。
君は待ち合わせ場所にたったの十五分遅れて来ただけで、
片手には僕があげた銀のストラップをつけた携帯電話を握り、その手を振った。
キラキラと輝いたそれは、僕達の未来を表しているかのよう。
待ち合わせの駅前から、賑わう週末の街を二人で歩いた。
僕達の不自然な距離も、夕暮れ前には測る事が不可能なほど。
ねぇ、本当に忘れたの?
別れ際、君の家の裏門で触れただけの口付けを・・・
「やっぱムリ~!休憩ダメなら答え教えてよ!」
「さっきの例題に当てはめて考えろ」
「ちぇっ」
信じられなかった。
口付けの翌日に、君は僕にどんなメールを送った?
“昨日のコト、忘れちゃいたい”
普段は沈着冷静な僕が抱いたこの想いを、君は簡単に引き裂いたんだ!
もう馬鹿は見たくないからね。
君が僕をどう思っているかなんて、今、君を悩ませている数学の問題よりも簡単さ。
「清四郎ちゃ~ん。お・ね・が・い。ね♪」
ほらまた、そんな目をして。
僕を騙そうたって、もうムリだよ。
「悠理、バレンタインのお返し。考えてる?」
「え?バレンタイン?」
「ほら、僕が悠理にあげたでしょ?あれ」
「ええ~!テーブルの上にあった、誰かがもらったチョコじゃん!」
「そうでしたっけ?なら・・・ん?」
僕は目を疑う。
棚の上に無造作に置いてある見覚えある携帯電話。
「あれ?この携帯は?」
「前んだよ。今は新機種。ん・・・あっ!!」
手を伸ばしてももう遅い。
僕が手にした携帯電話には・・・去年あげた銀のストラップ。
君の真っ赤な顔に、また騙されてしまいそう・・・
「よく持っていたじゃないですか?もう処分したと思ってました」
「だって・・・けっこう、気に入っていたから」
「ふうん」
僕の頭に悪知恵が浮かぶ。
「僕の質問に答えたら、その問題を教えてあげましょう」
「え?ほんと?」
今日は多分、僕から逃げられない。
去年の、あの理由を聞くまではね。
「ねぇ、悠理。どうして・・・僕との事を忘れたいってメールしたの?」
「え?なに?なんのこと?」
「去年のホワイトデーの後の事。忘れた?週末のデート」
「・・・・・」
「僕は悠理からのバレンタインで、君をいつでも助けられる距離でいたいって思ったのに」
「・・・うん」
今こそ、理由を聞かなくちゃ。
「悠理?」
「メッセージ、嬉しかったよ。でも・・・」
「でも?」
目を逸らして、俯く。とても言い難そう。
でも、辛抱強く待つ僕。
逃す訳には、いかないんだ。
「でも・・・助けてあげるのは野梨子だから。あたしは、自分で戦えるから」
そう思ったから、メールしたんだよね。
野梨子が悲しんじゃったら、せっかく友達になれたのに、また前みたいになっちゃうって思った。
一瞬、頭が真っ白になったけれど。
君は一体、今まで何を見てきたの?
この一年間で、何を知ったの?
「喧嘩はそうかも知れないけれど。それ以外、君独りで何ができる?」
「あ・・・うん?」
「助けるのは、喧嘩だけじゃない。勉強だって、遊びだって。そうだろ?」
「うん」
君は僕に想いを告げた。
僕も、君への想いを知った。
今、この時は、僕だけのもの。
今が、僕達に与えられたチャンス。
「もう一回、去年のバレンタインをやり直そう」
「でも・・・」
「遠慮なんていらない。誰も悲しんだりしないから」
「そうかな?」
「もっと僕を知って。そうすれば、きっと不安な気持ちが消えるはずさ」
そう、もっと僕を知る為に、僕の近くに来て。
「もう一回、やり直そう」
「うん」
俯き加減の君が僕を見上げる。
あのバレンタインの日のように真っ赤で。
だけど、はにかんだ笑顔に安堵感が窺えるのは、自分本位?
こんな君なら、また騙されても良いって僕は思う。
ずっと・・・騙されっぱなしでね。
1. よかったー!
なんにせよ、言葉の足りない二人、うまくいってよかったですー!
ドキドキな展開、楽しませていただきました!!
kotanさま、お疲れ様でした!体調の方もごむりなさらないでくださいね。
じんじゃーさま
なんとかホワイトデーに間に合って安心しています。
騙しているつもりは悠理にはないんだけれど、
やっぱり一言いってくれればー(笑)。
高等部一年だからなかなか不器用な感じだけれど、この二人は特に!
もうちょっと、甘えちゃってもいいのにって思います♪
お勉強以外でね(笑)。
体調はかなり良くなりました。
震災からちょうど一年と言う事もあり、今日は家で静かに過ごしています。
いつもありがとうございます♪