こちらは有閑倶楽部二次創作小説ブログとオリジナル小説ブログです。 日々の出来事もつぶやいています。 原作者・出版社とは一切無関係です。 誹謗中傷・作品の無断転載は禁止です。 管理人の文章やブログスタイルが合わない方はご遠慮下さい。不快と感じたコメントは削除致します。
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海。
輝く太陽。
広大な砂地。
彼女にとって見慣れたはずの風景が、全く違った場所のように思える。
海に反射する太陽の輝きが、水着姿の友人達をも輝かせる。
まるで光の渦が彼等を飲み込むように野梨子の目には見えた。
目を瞑り、膝を抱えたまま顔も埋める。
過ぎ去った記憶がまた呼び起こされる。
彼女にとって夏も、またその次の季節も全てあの人との記憶に重なる。
忘れなくては。
そう思いながら、目の前の風景と消えない記憶にあの人を探す。
決して戻らないのだ。
そう自分にまた言い聞かせ、胸が締め付けられるのを覚えた。
「野梨子」
聞き慣れた声が、彼女を哀しい記憶から連れ戻す。
彼はいつもそうだった。
どんな時でも、野梨子の全てを包み込むように。
「大丈夫?気分でも悪いのですか?」
海水を滴らせ、背の高さが窮屈でもあるように屈み込む。
幼い頃からそうであるように、顔を上げると彼女の眼を覗き込み、その心情すらも見透かす。
悠理にとってそうされる事が時に腹を立てる原因にもなるのだが、
今の野梨子にとってそれは詮索であった。
あの人の今を知りたい。
彼が親友であるのなら、尚更。
知る事が逆に苦しみであるのなら知らない幸せもあるのかも知れないが、
時々狂おしい程の欲望が彼女をそうさせるのだ。
「大丈夫。心配かけてごめんなさい」
「日陰と言っても暑いですから。別荘で休んだ方が」
「ええ。でも、本当に大丈夫ですわ。多分、寝不足の所為で眩暈が」
互いの漆黒の瞳を見つめ合い、その理由が明らかになると彼の方から眼を逸らし身体を伸ばす。
だから野梨子はちょっと意地悪な微笑を浮かべて彼をからかう。
「そんなに私を見つめては、悠理が嫉妬しますわ」
「嫉妬なんてしませんよ。そんな仲ではありませんから。彼女だって心配しているんですよ」
「知ってますわ。ちょっと冗談を言っただけで」
「野梨子」
彼は会話を遮るように彼女の名前を呼ぶ。
「いつまでも塞ぎ込んでいては身体に毒ですよ。
気分転換に海にでも入ったら?」
「分かっていますわ。けれど・・・」
そう、けれど。
今海に入ってしまっては、心の重さで沈んでしまいそうなのだから・・・
清四郎。
あの人は今、どうしているの?
何故誰も何も言わないの?
あの人は・・・他の誰かといるの?
遠くで誰かが彼の名前を呼ぶ。
「もう行って下さいな。私は大丈夫ですから」
「ええ・・・でも」
「夕食の下ごしらえをしなくてはいけませんの。私も戻りますから」
「分かりました。可憐に別荘に戻るように伝えます」
「一人で充分ですわ」
「僕が伝えなくても、可憐は行くと思いますよ」
「分かりました」
清四郎はもう一度屈み込んで彼女の眼を覗き込む。
しかし今そこには、心情を映すものは何も無かった。
1. 無題
あまりさま
私の住む所は、台風の影響はありませんでした。
あまりさまの所は、休校になるほど強い風だったんですね。。
けれど大きな被害はなかったとの事。安心しました。
また連載に挑戦しています!
いつも通りのゆっくり更新ですが、
どうぞ最後までお付き合い下さいませ♪
いつもありがとうございます!