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普段愛用のパソコンの調子が悪く、更新がなかなか進みません。
申し訳ございません。
ちゃんとアップできていると良いのですが。。
今回と次回は、悠理ファンには辛い内容です(作品全体がそうですが・・・)。
*この作品はメンタルヘルス的な要素や現実とは違う症状を描いております。
また年齢制限がある(若い方には不適当な)文章も含んでおります。
その為、このような文章をご理解いただける方のみご覧下さい。
十代のお若い方やメンタルヘルス的・年齢制限を感じさせる表現を好まれない方はご遠慮下さい。
読後の苦情も受けません。
あの日、夕方遅くまで生徒会資料を作成している僕を悠理は待っていた。
居残りを理由に、その時間になれば僕が独りになると言うのを確信していたのだ。
何気なさを装って、彼女は入って来た。
僕はできあがった資料の文字校正を行っていた。
「随分遅くまで居残りだったんですね」
「まぁね。居残りでも赤点出してさ。二回も同じテストしちゃった」
「で、分かったの?」
「問題?う~ん。答えを暗記して書いた」
「それじゃあ、文章が変わったら解けないでしょ?僕が教えましょうか?」
「うん・・・そうだね。でも、その問題はまた後で」
「すぐでしょ?問題見せて」
「ん・・・ねぇ、実は違う問題を教えて欲しいんだ」
「何です?数学?英語?」
彼女はちょっと言い難そうに顔を背け、少しの間そうしていた。
だから僕は面倒に思い、校正の続きをし始めた。
「もうちょっとで終わりますから。一緒に帰りましょ。途中まで送りますよ」
返事はない。
僕に背中を向け天井を仰いだりして落ち着きがない。
僕は相手にするのを止め、校正に集中した。すぐにそれは終わった。
「悠理」
「清四郎、お願いがあるんだ」
彼女の名前を呼んだのをきっかけにするように、振り向く。
「何です?」
「あたしにセックスを教えてよ」
僕は彼女が口にした言葉の意味が理解できるまで数秒を要した。
「な、何ですって・・・?」
「男と女の肉体関係。実践で教えて欲しい」
全く以って馬鹿らしく、腹立たしかった。
僕は彼女に背中を向けて帰り支度をする。
「清四郎。お願い」
僕は彼女が意図する事が理解できず、無視をする。
「清四郎ったら、ねぇ」
鞄を持ち上げ、蔑むように彼女を睨む。
「人をからかうのもいい加減にしろ。僕は帰ります」
「待ってよ!からかってないもん!」
ドアに向かう僕の前に立ちはだかり、肩を掴まれる。
「からかっているつもりも冗談でもない。本当に知りたいんだ」
「そんな事、今じゃなくても良いでしょ。それにそういう事は、悠理が本当に愛せる人とすれば良い。
急いだところで、何にもなりませんよ。後悔だけが残ります」
「そんな事ない。それにあたし、清四郎がいいんだ」
「僕は悠理を愛してません。悠理だってそうでしょう」
「愛なんかなくてもいいよ。セックスを知りたいだけだからさ」
「それなら、そういう本なりサイトなりで知れば?」
「どんな感じか、知りたいもん」
「じゃあ美童に頼めば良いでしょ」
「女性らしい人じゃなきゃ、美童はイヤがるよ」
「じゃあ、魅録にお願いするんですね。彼は悠理を大切に思ってますから、頼み込めば何とかなりますよ」
「清四郎に、教えてもらいたい」
「まあ、魅録では、本当の愛がなくては抱かないでしょうね。互いの想いも尊重するでしょうし、段階だって大切でしょう。
美童もある意味、悠理達を大切にしてますから」
「だから清四郎なんだって」
「僕なら、ですか?随分失礼じゃないですか。僕だってそういうのは、愛する人だけって決めてます」
「ウソ!自分が知らない事を相手が知ってるのって許せないくせに。
それとも、清四郎ってまだ経験ないんだ?」
肩を掴まれている腕を、僕は乱暴に振り払う。
「どけ!くだらない!」
それでも僕に絡もうとする彼女を押し退ける。
彼女は壁にぶつかり、痛そうに顔を歪ませた。
「馬鹿な事を言うからですよ。自分を恥じなさい」
背中を向ける僕にそれでもしがみ付く。
「一回だけでいいよ。後悔もしないし清四郎を恨んだりしない」
「何で僕が恨まれなくちゃいけない?」
「だから、そうじゃないから!あたし、だって、清四郎がいい」
体全体で払い避け、壁に悠理を押し付ける。
彼女の手首が赤くなるまで締め上げた。
「じゃあ、いつかね。僕がその気になったら」
「今がいい」
「今って、今?」
「うん。ねぇ、痛いよ」
「悪いけど。悠理と今、そんな気分じゃない」
「だって、清四郎だって、いつか好きな人ができたら、その人だけを大切にするんだろ?」
「当たり前です」
「だったらそれがいつになるか、明日かも知れないし、今日の帰りかも知れない」
「ま、極端な話、そうですね」
「でしょ?だから今じゃなくっちゃ。初めては、清四郎がいいって決めてた。ねぇ、ちょっと手ぇ放して」
僕はゆっくりと彼女の手を解放し、その事について考える。
それに初めての相手が魅録ではなく、僕と言うのなら・・・そうだと言うのなら・・・
「分かりました。二人の同意の下、ですよ。後で文句はなしですからね」
「もちろん」
僕は悠理を見つめ、悠理も僕を見つめた。
何時になく彼女の目は真剣で、先程とは違って落ち着いた色をしている。
沈黙が暫く続き、気持ちの昂りを覚えると僕は目を逸らして仮眠室へと進んだ。
「ここで良いですか?」
背を向けたまま彼女に訊く。
「うん」
「じゃあ、中へ」
ドアを開け、彼女の気配を感じると中に入れる。
僕はもう一度生徒会室のドアへ戻って内側から鍵をかけ、部屋の電気を消す。
一瞬暗闇になったが、彼女が仮眠室の電気を点けた事により、ドア越しに明かりが洩れた。
明かりのある方へ歩き、仮眠室に入る。その部屋のドアの鍵も閉めた。
簡易ベットとチェストだけの殺風景な部屋に張り詰めたような空気を感じたが、
僕は無視をして窓辺に行ってエアコンディショナーを温風に切り替えた。
彼女はベッドの前で僕の一部始終を見ている。
そんな彼女の前に進み、目を見つめて僕は言う。
「制服を脱いで」
彼女の喉が鳴り、ブレザーのボタンに彼女は細い指をかけた。