こちらは有閑倶楽部二次創作小説ブログとオリジナル小説ブログです。 日々の出来事もつぶやいています。 原作者・出版社とは一切無関係です。 誹謗中傷・作品の無断転載は禁止です。 管理人の文章やブログスタイルが合わない方はご遠慮下さい。不快と感じたコメントは削除致します。
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雨。。雨。。
雨の日は、好き。
だって、いろんなコト、諦められるから。
ん・・・ほら、当番制の部室掃除。
あと、宿題忘れたバツの教室の窓ガラス拭き・・・
キライな掃除が、後回しできるって感じ?
魅録とのツーリングは雨で中止になっちゃったけど、
部室の窓を開け放して、こうして窓枠にもたれてると、どーでもいいやって思える。
雨に濡れるアスファルトの匂いも、好き。
夏特有の灼熱の太陽が、アスファルトをじりじりと焼いて、そこに突然の雨。
音を立てるようにアスファルトから湯気が立ち、コールタールの匂いがそこいら中に漂う。
雨の日は、一足早い夏の想像もできちゃう。
「あ・・・」
そんなどーでもいいコトを考えていると、下校する友達が眼下に見えた。
見慣れた地味系の傘が、二つ並んで見えたから。
学園中の人気者で、憧れのカップル。
身長差はどーであれ、お似合いの二人。
・・・雨の日は、諦められる・・・
「ぶぅ」
ナンだか胸苦しくって、窓から離れてしまった。
あたしも帰ろう。
今日は迎えも来ないし、傘もないけど・・・雨の日は、いろんなコトが諦められちゃう!
そう、全ては、雨のせいなんだから!
「やっぱり悠理。居残り?」
「せ、清四郎。なんで?」
部室のドアが突然開いて、入って来たのは、地味系な傘の持ち主の一人。
「何でって、さっき野梨子と歩いてたら、部室の窓に悠理が見えて」
「そ、それで?」
「きっと迎えも傘もなくて困ってるんだろうと」
「そう?」
「魅録、僕達より先に帰ったでしょ?」
「うん」
ああ、魅録の代わりに、ね。
「野梨子も、送った方が良いと言ってくれましたしね」
「あんがと。でも大丈夫」
「大丈夫って?濡れちゃいますよ」
「濡れる前に走っちゃうもん!」
清四郎は声を上げて笑って、悠理ならできるかもって言った。
「遠慮しないで。心配だからこうして戻って来たんですよ」
「う、ん・・・」
清四郎は部室の戸締りをして、あたしの鞄を持ち上げた。
「さ、帰りましょ。家まで送りますから」
見上げると、微笑んでる清四郎がウィンク。
さっきまでの心の中のもやもやが、パーっと晴れていく感じ。
雨の日はいろんなコト諦められるって思ってた、けど・・・
諦めなくてもいいコト、あったりする。