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charm anthology

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2025/01/31

the two of us 1

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2013/03/14

the two of us 1

こんにちは!
ご訪問ありがとうございます。

たくさんのご訪問様と拍手、本当に感謝しています!!
ありがとうございます♪

元気をたくさんいただいたので、本日は新作をアップします。

とても短いお話なのですが、一度に書く事ができなかったので、続きはまた後日アップしますね。。

それでは、どうぞ~♪













自室のドアがノックされた時、それが数日前からいる同居人でないと感じ声をかける。
内線が鳴らなかったとなると家政婦は買い物か帰宅した事になる。
 


「清四郎だ」
 


やっぱり。
俺はドアを開け、友人を中に入れた。
 


「悠理は出かけてるぜ」
 


さっきコンビニエンスストアで買い物するって出かけたばかりだ。
 


「いえ、魅録に用事があったから。良いんです」
「そっか」
 


母屋から離れた庭にある自室だから、冷蔵庫も完備している。
そこからペットボトルのコーヒーを出すと、清四郎に投げた。
 


「サンキュ」
 


小さくそう呟いて、近くのソファに座る。
ソファには、多分清四郎も見慣れているはずの、もう一人の友人の携帯電話が置かれているのに気が付いた。
 


「今は必要ないって、電源切ったままそこにずっとさ」
「そうですか。そうかも、知れないですね」
 

手に取り、意味もなく裏表を確認すると元に戻す。
 


「悠理はしばらく俺が見てる」
「すみません」
 


俺は自分専用の椅子に座り、清四郎の様子を窺う。
ちょっと茫然としたように、ペットボトルを眺めている。
 


「もう泣いていないし、表情も暗くない。食欲は以前に比べて少ないけれど、元気だ」
「良かった」
「メシを運んでくれたり、男山を散歩に連れて行ったり、俺の趣味の手伝いだってしてくれる。
家に帰ると部屋に独りいる事になるからここにいたいって。俺はいいって言った」
「彼女が望むなら、その方が良いかも知れませんね」
 

普段は物置のように使っていた小さな部屋を、今は悠理の寝室に当てている。
俺はそちらのドアを見ながら言う。
 


「ずっと、返したくない気分だ」
「・・・・・」
 


今週の初めだっただろうか。
悠理が泣きながらこの部屋にやって来た。
今はまだ何も聴かないで欲しいと言い、その日からこの部屋で暮らしている。
大体の予想はつくが、今まで、こんな風にずっと泊り込む事はなかった。
 


「一体何があったんだ?悠理は聴くなと言うし、お前からの連絡もなかった」
「すみません」
 


清四郎はペットボトルをテーブルに置き、ソファから立ち上がる。
 


「僕がいると悠理がここに戻り辛いでしょ。近くの公園で話します」
 


俺の返事も聞かずにそう言うと、ドアへと向かう。
確かに・・・言う通りだろう。
鉢合わせしたら、悠理はこの部屋からも去って行くのだ。
 

 

俺達は近くにある児童公園へと向かう。
その間、会話はなかった。
土曜日の午後とあって、公園には親子連れが多かった。
春を感じさせる陽光が、水のない噴水を照らしていた。
悠理と一緒だったら、きっとジャングルジムまで競争させられるんだろうなと思う。
そんな思いとは裏腹に、清四郎が思い詰めた表情でジャングルジムに向かったものだから、
近くにいた子供達はびっくりしたように後退り、またそこを降りた。
ヤバイな、と察して俺はジャングルジムによじ登る。
 


「誰が一番に俺にタッチできるか!競争だぞ。頭ぶつけんなよ!」
 


頂上で立ち上がり、俺は子供達に向かって叫ぶ。
男の子も女の子もすぐに察して、嬉しそうによじ登っては俺の体をあちらこちらタッチしておりた。
清四郎はそんな状況に驚きながらも子供達を見守っていた。
 

悠理と俺の、いつもの光景だった。
 

やがて潮が引くように、子供達は帰って行った。
時間はちょうど、夕方の5時を回っていた。
春先と言えども、この時間は太陽が傾く。
俺は夕陽を浴びている清四郎の、削げた頬を見つめた。
タイミングを探しているのか、目線を下げ、見るともなく地面を見てため息を吐いている。
それを俺が与えるのは簡単だったが、そうはしなかった。
何故ならこの話の後、悠理との時間が終わってしまいそうだと感じたからだった。






 

 

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