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2012/09/19

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ご訪問ありがとうございます!

なかなか新作ネタが浮かばないのですが、
つらつらと綴っていたら・・・掌編が。

で、書き上げてみたら

“kiseki”

の番外編みたい。。

部類としては、「ボツネタ」。

ちょっと重い感じですが、もしよろしければ・・・どうぞ。













元気そうじゃん。
 


彼女はそう思うと、彼が自分に気付かずに通り過ぎるのを見送った。
 


相変わらず忙しいヤツ・・・
 


思わず苦笑する。
そして、そんな自分に驚いた。
 


随分・・・成長しちゃったんだな。
 


「悠理!」
 


彼女の名を呼ぶ方へと振り返る。
 


「魅録」
「ナニ笑ってんのさ?」
「何でもないよ」
 


魅録に微笑むと、彼女は彼の腕を取る。
 


「待ってるなんて珍しいな、お前」
「だろ?だからかな?さっき、清四郎を見かけた」
 


彼女の言葉に、魅録がちょっと身体を強張らせたのを感じる。
 


「へ、へぇ~。で、何て?」
「ううん。あたしには気付かないで行っちゃった」
「そう?」
 


それから彼女は静かになる。
そんな彼女を不安げに横目で見つめる。
彼女の表情はだからと言って特別なものではない。
何て言うか・・・少し疲れている感じだった。
ショッピングモールの人込みに疲れている、そんな感じ。
 


「あそこのフードコートでジュースでも飲む?」
「うん、いいね」
「俺、買って行くから、席取ってて」
「オッケー」
 


いつもと変わらないやりとりにちょっと拍子抜けをしつつも、不安な気持ちは残されたままだった。
 

 

もう、元に戻る事はない。
分かっていながら、受け入れる事は出来なかった。
だって、彼女の怠慢さはいつもの事だから。
そんな彼女を知って近付いたのは、清四郎だったのだから。
 

清四郎の愛は、いつも彼女を不安にさせた。
傍にいながら、包み込むような温かさを感じる事は出来なかった。
与えて欲しい言葉が口から発せられ事は少なかった。
彼から近付き、彼女の心を振り向かせ、彼女が夢中になった時にはまるで関心がないようだった。
腑甲斐ない彼女の恋心は脆い枯葉のようで、それを両手で包み込んだのは魅録だった。
魅録が、彼女の恋心を奪ったのではない。
彼はただ、枯葉が遠くに飛ばないように、誰かに踏み潰されないように守っていただけだ。
 


“ねぇ、清四郎。本当にあたしの事が好きなの?”
“え、また?また最初から答えるの?”
 


彼女は何故そんな言葉が清四郎の口から出るのか不思議でならなかった。
最初に口にしたのは清四郎のはずなのに、お預けを食らったペットのように直ぐに与えられる事はなかった。
 


“せっかく築き上げた僕達の信頼関係だったのに”
 


築き上げた信頼関係・・・?
 

彼女を不安にさせている事には気付こうともせず、彼女の行為が裏切りだと清四郎は言う。
例え彼女が不安の原因を訴えても、清四郎はそれを束縛だと苛立つくせに。
 


「悠理にはストロベリーシェイク」
「お、サンキュ♪大好き」
 


休日の午前中、フードコートはまだ混み合っていない。
 


「魅録は何を飲んでるの?」
「アイスコーヒー。さっき起きたばかりだから」
 


そう言って微笑みかける魅録を、彼女は好きだと感じる。
彼は彼女に背中を向ける事はない。
彼はいつも温かく、優しい。
時に厳しい言葉を与えられても、そこに素直な愛情がある事を知っている。
 


あたしには魅録がいる。
どんな事があっても離れるなんてない。
 


あの頃は、そう思う事で自分を慰めていた。
突き放すように自分から去って行った清四郎を最初は追いかけたが、
そうする事が無意味であると教えたのは魅録だった。
彼女の失った恋心を別の恋で埋めようとしたのではない。
そんな事はあり得ない。
彼女を放っては・・・いられなかったのだ。
 


清四郎の気持ちが本当かどうか・・・知る為の、駆引きだったのかもね。
 


恋を知らないままに求められて、それぞれの愛の形がある事を知らずに懼れた結果なのだから。
 


“悠理の淋しいさに気付いてやれない僕にも原因があったのかも知れないけれど。
僕以外の、よりによって魅録と親密にメールしてたなんて許せない!”
“魅録とは変わらず親友だし、凹んでるあたしを心配してさ”
 


二人でいる時も不安だった彼女が、魅録に送られたメールの言葉を励みにしているのが知れたから・・・
 


「やっぱりちょっと腹減った。ハンバーガー買ってくる。悠理は?」
「食べる~♪チーズバーガーとポテトと・・・」
「適当に、二人の腹が満たされるくらいな」
「うん。魅録ちゃん、愛してる♪」
 


今思えばあれが、清四郎の最大級のあたしに対する嫉妬なのかも。
 


こう考えられるようになるまで、どの位の時間がかかったのか時々思う事がある。
それは彼女にとって喜びではないにしても、越えられた達成感に似ているかも知れない。
 

もう、元に戻る事はない。
元には戻れない。
 

元には・・・戻りたくない。
 

例え戻れたとして、何になろう?
同じ事を繰り返し、それを幸せと感じられない。
 


もし、気持ちを改めて付き合う、そうなったら・・・?
 


「お待たせ!」
「わ~、うまそーっ!」
「こらこら。いきなりがっつくな!!」
 


振り向くと何時も魅録がいる。
ありのままの自分を好きだと言ってくれる魅録が。
 


視線の先に、また姿を見たような気がする。
今度は、追う事をしない。
彼女はゆっくりと視線を避け、目の前の優しい笑顔を向ける彼を受け止める。
 


もう、元に戻る事はない。
 


何故なら戻らなくても良い現実が、ここにあるのだから。






 


 

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