こちらは有閑倶楽部二次創作小説ブログとオリジナル小説ブログです。 日々の出来事もつぶやいています。 原作者・出版社とは一切無関係です。 誹謗中傷・作品の無断転載は禁止です。 管理人の文章やブログスタイルが合わない方はご遠慮下さい。不快と感じたコメントは削除致します。
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朝目覚めたらリビングは、キッチンから漂うコーヒーの匂いで満ちていた。
ソファでずっと寝ていたんだ。体中が痛い。
目が重くて・・・不快感。
その理由を思い出していると、また目頭が熱くなる。
「清四郎・・・」
小さな声で呼んでみたけれど、いないのは分かってる。
それはコーヒーの煮詰まった匂いが、あたしに知らせていたから。
いつもの喧嘩。
でも今回はヒートアップしちゃって。
清四郎があたしの為に努力しているのは分かってる。
けれど、うまくは行かなくて。
昨日は何もかも全て、反発する事しかできなかった。
心とは裏腹、って言うのかな?
最後には清四郎、あたしのさよならを受け入れてしまった。
「もうこれ以上・・・」
そう、もうこれ以上、うまくやって行けないねって。
あたし・・・後には引けなくなっちゃって。
いつもなら、背中を向けても抱き締めてくれて「ごめん、僕が悪かった」って言ってくれるのに。
度が過ぎちゃったんだ。清四郎に甘え過ぎていたんだ。
もう後には引けない・・・どうしよう。
あたしは携帯電話を握り締め、清四郎へ発信しようとする。けれど。
言葉が浮かばない。
何て言って許しを請えば良いのか、分からない。
こんな時になっても意地っ張りな性格が、伝えたい言葉に邪魔をする。
気付くとあたしは、美童にメールを送っていた。
“清四郎のこと、忘れるにはどうしたらいい?”
美童にまで意地を張って、どうしようもない自分の性格に厭きれてしまう。
早朝メールにも関わらず、返信がすぐに来た。
“どうしたの?また喧嘩?”
“また・・・じゃなくて、マジで”
“分かった。朝ごはんまだでしょ?駅前のカフェで待っててよ”
時々仲間と利用する駅前の喫茶店。
朝ごはんを食べる時間には開店する便利なお店。
朝ごはん・・・なんて気分じゃないけれど、珍しく。
でもこんな時に感じる、友達のありがたさ。
美童は清四郎の代わりなんかじゃなくて。
淋しさを紛らわす相手なんかじゃなくて。
あたしと清四郎の恋の行く末を・・・示してくれそうな気がするから・・・
あたしはキッチンに行ってコーヒーメーカーのスウィッチを切る。
清四郎があたしの為に用意してくれたコーヒー。
コーヒーは飲む分だけ作るんだって、いつか清四郎が教えてくれたけど。
じゃあなんで、コーヒーメーカーには二人分が作られているんだろ?