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“剣菱さんは女の子だから、怖かったろ?”
男の子になりたいなんて、思ったコトないよ。
でも、女の子に庇ってもらうアイツなんて、よわむしって思ってた・・・
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“ユーリ、オーブンの中のケーキが焼き上がっているか見て来てちょうだい”
ミセス・エールから頼まれて、キッチンまで来たのはいいけれど。
悠理はそのまま立ち止まって周りを見渡した。
オーブン、オーブン・・・オーブンの中に入ってるケーキって言われても・・・
どれがオーブンの扉なのか、彼女には分からない。
キッチンに立ち込める焼き上がったばかりのケーキの香ばしい匂い。
剣菱邸の厨房にあるようなオーブンらしき扉をいくつか開くと、やっとの事で焼き上がったケーキに出合った。
「あった、あった。わぁ、うまそー♪」
彼女が両手をそのままケーキが載ってある天板に伸ばそうとした時、グィッと片腕を強い力で引かれた。
「危ない!火傷するだろ!?」
驚いて声のする方を振り向くと、昨日も助けてくれた生徒会長が呆れたように悠理の腕を掴んだまま見つめていた。
「な・・・バカ!びっくりするだろが?」
「バカって。火傷しないように気遣ったつもりですが?」
「え?」
「ケーキは焼き上がったばかりでしょ?天板はまだ熱いんですよ。触ってみます?」
「あ・・・」
「オーブンの扉を開けといて気付かない?」
彼は近くにあるミトンを両手にはめると、慎重にケーキが載ってある天板をオーブンから出して調理台に置いた。
「手に火傷の痕が残ったら。女の子でしょ?心にも傷が残りますよ」
先日の生徒指導室での一件から悠理に向ける彼の視線は、それまで知らなかった表情を含んでいて戸惑わせる。
「この後のデコレートはミセス・エールと野梨子達にお願いするとしますか」
彼は庭でティーパーティを楽しんでいる彼等の元へ悠理を連れ戻そうとした。
「ううん。ここで待ってる。ケーキ作るの、見てるよ」
そう?っと、ちょっと不可解な顔をする生徒会長はキッチンを後にする。
彼女は最近、彼によって心が乱れ始めている事に気付いていた。
そんないつもとは違う自分にも戸惑いながら、今まで経験した事がない胸の痛みを愛しく思える。
そして・・・同じ痛みを持つ右腕に、そっと左手を添えた。
“剣菱さんは女の子だから、怖かったろ?”
南中の番長に張り倒された時に負った彼女の傷を手当てしながら、言う。
“怪我の勲章は男の子だけの特権だから”
男の子だけの?そりゃあ、おかしいだろ?
そう反発しようとして、でも、それを口に出す事が出来なかった。
彼の言葉に、自分が女の子だと知らされたから。
またその事実が、甘い痛みを覚えさせたから・・・
「・・・怖くなんか、ないやい」
「そう?なら、良いけれど」
「うん・・・」
「酷い目に、合っちゃっいましたね」
酷い目?
そうかな?
喧嘩慣れした彼女には、やはり意外な言葉だった。
けれど、今度も彼女は反発をしなかった。
「白鹿や黄桜はそうだったかもしんないけど」
問題児である彼女が生徒会長に、その時は笑顔を向けた。
「思いもしない顔ぶれが、仲間になれてよかったよ!」
その言葉を聴いて、彼も無邪気な笑顔を見せた。
「ああ、そうだね!」
普段は見せない表情に、ドキリとする。
こんな顔もするんだって、思う。
でも何より、女の子に守られるような弱虫優等生が、あんなに強くなっていた事に心が騒ぐ。
自分が女の子である事が、こんなにも喜ばしいなんて・・・
そして。
ティーパーティに戻った生徒会長も持つ胸の奥の疼きの理由が何なのか、それが分かるのは・・・まだちょっと先。。
1. うわーい!
悠理たん、女の子扱いに戸惑っちゃったんですね!
中学時代のお話は大好物なのでめっちゃうれしかったですー!
素敵なお話、ありがとうございました!
じんじゃーさま
なぜか急に書きたくなっちゃって(笑)。
よわむしだった優等生クンが自分より強くなって、庇ってくれて・・・!!
ちょっと気になる存在になりますよね♪
久々の中等部。
とても楽しく書けました!
コメントをありがとうございます♪