こちらは有閑倶楽部二次創作小説ブログとオリジナル小説ブログです。 日々の出来事もつぶやいています。 原作者・出版社とは一切無関係です。 誹謗中傷・作品の無断転載は禁止です。 管理人の文章やブログスタイルが合わない方はご遠慮下さい。不快と感じたコメントは削除致します。
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「悠理、形容詞には『な形容詞』と『い形容詞』があって・・・」
金曜日の放課後の部室で、アイツが教えてくれた。
月曜日に、国語の小テストがあるから。
あたしのノートにアイツは書いた。
”元気な悠理”
悠理・・・とりあえずは名詞として。
名詞の前が『な』ですね。
『な形容詞』+『名詞』
元気な悠理で・・・『元気な』が形容詞。
ぽけっとしているあたしに、困ったように肩を竦める。
「今日の部室は、静かですね」
”静かな部室”
さっきと同じように、書く。
教室は名詞で、静かな・・・は?
あたしはこの、見慣れた字が好きだ。
男の癖にしなやかな指も。
放課後のアイツとの僅かな時間は、ちょっと胸が痛苦しくて。
あたしは今、『静かな部屋』で珍しく復習をする。
辛いな、清四郎。
苦しいな、清四郎。
痛いな、清四郎。
・・・・・ねえ、これは『な形容詞』?『い形容詞』?
分かんないよ。
あの時の胸の痛みが、またよみがえる。
日曜日の午後、アイツが予定なしでいるワケがない。
だけど今までのように、遊びに誘う電話もメールもできない。
なぜかな?
自分のワガママで、アイツを縛りたくないって言う気持ちが、あるんだ。
淋しいな、清四郎。
虚しいな、清四郎。
哀しいな、清四郎。
鼻の奥がツーンと痛くなって、
目がじわーっと熱くなる。
つまんないな、清四郎。
昨夜からバッグに入れっぱなしの携帯電話が、
聴きなれ始めた着信メロディを奏でている。
嬉しい。
楽しい。
喜ばしい。
「もしもし、清四郎?」
「悠理、何してるの?ずっと日曜日を家で過ごしてるんですか?らしくないですね」
「今ね、この間の、形容詞の復習してるの。偉いでしょ?」
「おや、珍しい。興味を持ちましたか?僕の教え方が良かったんですね」
「って言うか、明日テストだし」
「じゃあ、ちゃんと成果出して下さいよ。
百点だったら、何かお礼してもらおうかな?」
厚かましい。
嫌みたらしい。
恩着せがましい。
「ところで?」
でも、何ひとつ、聴き逃したくない優しい声。
「ん?」
「家の中ばかりでは体に悪いから、今からどこか行きましょうか?」
「うんっ!!どこで待ち合わせる?」
「もうすぐ夕方になって危ないから、迎えに行きますね」
清四郎って昔と違って、男らしい♪
「それまでに、どこに行きたいか決めておくんですよ。
でも時間的に、ファミレス、ゲーセンって感じですね。悠理ならね?」
なあに?結局こういう扱いになっちゃうワケ?
「まあ、それでも良いけれど。
明日のテストは間違いなしなんだから、もう悠理のおごりって事にしましょうか?
ちょうどお腹が空いていたんですよ」
もおっ!清四郎のばか!
「あ、悠理のおごりなら、ファミレス止めた。
せっかくだからみんなを呼んで、ぱあーっと騒ぎましょうか?
悠理の百点満点前祝!!」
あはは・・・清四郎君・・・ちゃんちゃら、おかしい・・・